Vidu S2が508 upvotesで首位、Atria Dawn・ZGCM-1・Dream-RSIが続き、エージェント型基盤モデルと再帰的自己改善が同日に3本並んだ。PhysBrain 1.5の物理基盤モデル、Grouped Value AttentionのKVキャッシュ削減と合わせ、「エージェントが自らを改善する」方向と推論コストの削りどころが同時に前面に出た日である。
注目論文
Vidu S2: Real-Time Interactive, Editable, and Spatial Video Generation
著者: Jintao Zhang, Kai Jiang, Jintao Chen et al.
Vidu S2 は、リアルタイム対話型のデジタルキャラクタモデル Vidu S2-Avatar と、リアルタイム動画編集モデル Vidu S2-Editing から構成される(508 upvotes)。さらに両者について、リアルタイムの空間動画生成の実現可能性を検証している。
新規性: 動画生成を「生成して待つ」処理からリアルタイムの対話・編集の場へ移し、それをアバターと編集という二つの用途で同時に成立させた点が中核である。動画拡散はサンプリング時間が長く、対話的な用途では待ち時間そのものが体験を規定してしまう——生成と編集の双方をリアルタイム側に引き込む構成は、その制約を前提から外しに行くものである。空間動画生成の検証を併せて置いている点も、単一モデルの高速化にとどまらない射程を示している。
手法: 対話型デジタルキャラクタ生成(S2-Avatar)と動画編集(S2-Editing)の二系統を実時間動作させ、前世代 Vidu S1 からの改善を報告するとともに、両系統での空間動画生成の可能性を検証する。
Atria Dawn: The Dawn of Agentic Superintelligence
著者: Honglin Guo, Tao Gui, Yicheng Chen et al.
AI エージェントが自らの後継の開発に参加し始めることで、知能の生産のあり方と人間の研究者の役割の双方が組み替わる(369 upvotes)。Atria Dawn Preview は、科学研究とエンジニアリングのワークフローに向けて設計された基盤エージェント型言語モデルである。
新規性: モデルを「研究を支援する道具」ではなく「後継モデルの開発に参加する主体」として位置づけ、その前提から基盤モデルを設計した点が中核である。エージェントの評価は与えられたタスクの達成度で測られるのが通例である——だが研究・エンジニアリングのワークフローでは成果が次の開発サイクルの入力になるため、単発のタスク性能では捉えられない。科学研究向けの基盤エージェントモデルとして設計を組む構成は、その循環を最初から想定するためのものである。100 名を超える共著による大規模な取り組みであることも特徴である。
手法: 科学研究・エンジニアリングのワークフローを対象とする基盤エージェント型言語モデルのプレビュー版を構築する。
ZGCM-1: A Fully Open and Extremely Efficient Foundation Model for Math and Agentic Search
著者: Jiyan He, Guang Liang, Hao Liu et al.
ZGCM-1 は、データ・システム・アルゴリズムの各面で極限まで効率を追求し、スクラッチから学習された完全オープンな 7B 密モデルである(291 upvotes)。中核となる前提は「小型モデルはオープンウェブを受動的に記憶しきれないが、意図的な内部思考と能動的な外部ツール利用を結合すればパラメータ容量の限界を越えられる」というものである。
新規性: 小型モデルの制約をパラメータ容量ではなく「記憶に頼るか、思考とツールに頼るか」という設計選択の問題として立て、その前提に沿って学習レシピ全体を組み直した点が中核である。加えて、事前学習・中間学習・事後学習の各段階の重みと中間チェックポイント、学習コード、段階別データとデータレシピ、W&B ログまでを公開する徹底したオープン化を行っている。エージェントの群れがクラスタ運用・データ整備・診断評価を自律的に管理する AI ネイティブな R&D ワークフローを確立した点も報告されている。
手法: 256K コンテキストを支えるため、ゲート付きスライディングウィンドウ注意と全注意のインターリーブ、安定な FP8 Muon オプティマイザというアーキテクチャ・システム協調設計を行い、16K→64K→256K の段階的コンテキスト拡張と、対話トレースを MDP として再定式化する中間学習を組み合わせる。16K 事前学習の time-to-loss で約 4.2 倍の効率改善を示し、数学推論とエージェント検索の難易度の高いスイートでは Qwen3-235B-A22B や GLM-5.1 といった桁違いに大きなフロンティアモデルと競合する。アーキテクチャのスケーリング、SFT の品質枝刈り、長文脈汎化、エージェント協調学習の動態にまたがる 8 つの実践的知見を抽出している。
Dream-RSI: Recursive Self-Improvement through Evolving Worlds
著者: Tong Zheng, Xidong Wu, Zheng Zhang et al.
自律 AI エージェントにとって再帰的自己改善の重要性は増しており、その進歩は複雑な領域で高価値な解を発見できるかに懸かっている(260 upvotes)。このプロセスを駆動するのは効果的な探索だが、探索戦略の管理と改善そのものが主要なボトルネックとして残っている。
新規性: 自己改善の対象をエージェントの方策や探索戦略だけでなく、エージェントが置かれる世界そのものに広げた点が中核である。探索戦略の改善は固定された環境の中での最適化として扱われるのが通例である——だが環境が固定されていれば探索の余地も固定され、戦略の改善はやがて頭打ちになる。環境を進化させながら自己改善を回す構成は、その天井を動かすためのものである。
手法: 進化する世界(evolving worlds)を通じて探索戦略の管理と改善を行い、再帰的自己改善を実現する枠組みを構築する。
PhysBrain 1.5: From Vision-Language Models to Physical Foundation Models
著者: DeepCybo Team, Yu Bin, Haipeng Cao et al.
PhysBrain 1.5 は、物理環境の理解・行動の生成・未来状態の予測を単一のモデルで扱う統合モデルである(169 upvotes)。観測・相互作用・環境変化という物理的なループに動機づけられ、これらの能力を共通の学習枠組みに収めている。
新規性: 視覚言語モデルを出発点としつつ、理解・行動・予測を別々のモジュールに分けずに一つの学習枠組みへ統合した点が中核である。物理環境を扱うモデルは、認識・方策・世界モデルとして個別に設計されるのが通例である——だが実際の物理ループでは観測が行動を生み、行動が環境を変え、変化した環境が次の観測になるため、境界をまたぐ一貫性が性能を規定する。ループの構造に合わせて枠組みを一本化する設計は、その一貫性を学習側で担保するためのものである。
手法: 汎用の視覚言語モデルから出発し、物理環境の理解、行動生成、未来状態予測を共通の学習枠組みで統合した物理基盤モデルを構築する。
Grouped Value Attention: Efficient KV Caching via On-Demand Key Reconstruction
著者: Vishesh Tripathi, Abhay Kumar, Ramsha Khan
KV キャッシュは Transformer のデコードにおける主要なボトルネックであり、メモリ使用量とキャッシュ読み出し量がいずれも系列長とともに増大する(58 upvotes)。Grouped-query attention(GQA)はキー・バリューのヘッドを共有することでこのコストを削減するが、各ステップでキーとバリューの両方を保存する点は変わらない。
新規性: GQA が手をつけていなかった「キーとバリューを両方保存する」という前提そのものを崩した点が中核である。KV キャッシュの削減はヘッドの共有や量子化として進められてきた——だがキーとバリューを対で保持する構造が残る限り、保存量は原理的に半分より下には落ちない。必要時にキーを再構成して保存対象から外す構成は、その下限を動かすためのものである。
手法: キーを毎ステップ保存する代わりに、必要になった時点でオンデマンドに再構成する Grouped Value Attention を導入し、KV キャッシュのメモリフットプリントとキャッシュ読み出しトラフィックを GQA からさらに削減する。
RSIAgent: Autonomous Exploration for Recursive Self-improvement in New Environments
著者: Sibo Zhu, Shicheng Fan, Xinyue Wang et al.
デジタルエージェントは、インタフェース・ツール・失敗モードが事前学習済みモデルに十分捉えられていない新しい環境へ適応しなければならない(47 upvotes)。RSIAgent は、自律的なメモリ構築を通じた再帰的自己改善のための、学習不要(training-free)な多エージェント枠組みである。
新規性: 新環境への適応を追加学習ではなくメモリの自律構築として実装した点が中核である。未知の環境への適応はファインチューニングや環境固有のデータ収集で扱われるのが通例である——だが環境ごとに学習を回す前提では、インタフェースや失敗モードが変わるたびにコストが再発する。学習を伴わずに多エージェントで探索とメモリ構築を回す構成は、そのコストを実行時側へ移すためのものである。同日の Dream-RSI と併せ、再帰的自己改善が学習ありと学習なしの両面から攻められている。
手法: カリキュラム的な自律探索とメモリ構築を複数エージェントで協調させ、追加学習なしに新環境へ再帰的に適応する枠組みを構築する。
LynnReal-Omni: Native multi-modal Video Generation for Agentic Visual Workflows
著者: Xiaofeng Mao, Peijia Lin, Shaohao Rui et al.
動画拡散モデルは確率的で制御が難しく、精密な内容を得るには成功の保証のないまま繰り返しサンプリングする必要があり、長尺のシーンでは外観・相互作用・時間的一貫性が徐々に崩れていく(44 upvotes)。エージェント的な視覚生成は、明示的な参照、編集可能な 3D シーン、実行可能な手続きを与えることでこの問題に対処する。
新規性: 動画生成の制御性を、サンプリング側の工夫ではなく生成に与える足場の側から確保する点が中核である。動画拡散の制御はプロンプトや条件付けの改良として進められてきた——だが確率的な生成である限り、精密な内容の要求は試行回数の問題に還元されてしまう。明示的な参照や編集可能な 3D シーンをエージェント的ワークフローに組み込む構成は、制御を生成の外側に持ち出すためのものである。
手法: エージェント的な視覚制作ワークフローに向け、明示的な参照・編集可能な 3D シーン・実行可能な手続きを扱えるネイティブなマルチモーダル動画生成モデルを構築し、制御性と長尺一貫性を確保する。
Occamy-1.0: Open Pareto-frontier 35B Intelligence for Co-work
著者: Wenhui Chen, Shiwen Cheng, Hao Dong et al.
共働(co-work)エージェントは、情報収集・ツール利用・コーディング・ファイル操作を多数のモデル呼び出しにまたがって組み合わせ、複雑なワークフローを実行する(41 upvotes)。コストと遅延はエピソード全体にわたって累積するため、その実用的な価値はピーク性能だけでなく、その能力をどれだけ効率よく供給できるかに左右される。
新規性: エージェントモデルの評価軸をピーク能力からエピソード全体のコスト効率へ移し、その軸でパレートフロンティアを狙った点が中核である。モデルの比較はベンチマーク上の最高性能で行われるのが通例である——だが共働エージェントは一つのタスクで何十回もモデルを呼ぶため、1 回あたりのコストと遅延が累積して実用性を決める。能力と効率を同時に最適化する 35B という規模の選択は、その累積構造を踏まえたものである。
手法: 情報収集・ツール利用・コーディング・ファイル操作を横断する共働ワークフローを対象に、能力と累積コスト効率のパレートフロンティアを狙うオープンな 35B モデルを構築する。
How Lossless Is Lossless Speculative Decoding? The Role of Numerical Precision in Orthrus
著者: Ilya Koziev, Leonid Sinev, Ivan Oseledets
Orthrus は、凍結した自己回帰バックボーンを使いながら複数トークンを並列生成することで自己回帰言語モデルの推論を高速化する、自己回帰-拡散のハイブリッドアーキテクチャである(26 upvotes)。その中心的な主張は、モデル内部の合意機構(intra-model consensus)によってロスレスな投機的デコーディングが可能になるという点にある。
新規性: 「ロスレス」という主張を数値精度の観点から検証し直した点が中核である。投機的デコーディングのロスレス性は、検証手続きが数学的に出力分布を保つことをもって主張されるのが通例である——だが実装は有限精度の浮動小数点演算の上で動くため、数学上の等価性がそのまま実装上の等価性を意味するとは限らない。既存手法の主張を数値精度という別の軸から突く構成は、検証手続きの前提そのものを問うものである。
手法: Orthrus のモデル内部合意機構に基づくロスレス投機的デコーディングの主張について、数値精度が果たす役割を分析し、ロスレス性がどの程度成立しているかを検証する。
分野別の動向
エージェントと再帰的自己改善
今日の上位は、エージェント型基盤モデルと再帰的自己改善(RSI)にはっきりと寄っていた。Atria Dawn(369 upvotes)は AI エージェントが後継モデルの開発に参加する前提から科学研究向けの基盤エージェントモデルを設計し、Dream-RSI(260 upvotes)は環境そのものを進化させて探索戦略を改善し続け、RSIAgent(47 upvotes)は学習を一切伴わない多エージェントのメモリ構築で新環境へ適応する。arXiv 側には、この盛り上がりを形式化しようとする研究が置かれている。Generalized Agent Iteration(GAI)は、古典的な反復方策改善(GPI)と RSI を単一の学習パラダイムの二つの場合として記述する形式的枠組みを提案し、「改善機構がエージェントの一部かどうか」「測る基準がエージェントの外に根拠を持つかどうか」という二つのダイヤルで既存システムを同じ座標上に並べる。RSI が現象なのか機構なのか見込みなのかという問いを立てるところから始めている点が、いま同時に走っている実装群への対照になっている。
エージェントの信頼性側では、Root-Cause Attribution Is a Search Problem が長時間実行の失敗診断を「もっともらしい診断に早期収束してしまう」問題として捉え直し、判定モデルに未解決の証拠を探し続けさせる Continual Search を提案している。50 件の人手注釈付き失敗試行から成る MegaRCA-Mix では GPT-5.5 の F1 を 0.349 から 0.498 へ 40% 以上改善し、同じモデルファミリ内で下位モデルが上位モデルを上回る場合すらあると報告する。Asclepius は救急外来のシフト全体を管理させる Clinical Environment Simulator を用い、現行エージェントが診断は当てるのに重要なアクションを完全かつ時間内に実行できない「実行ギャップ」を、指示追従のドリフト・治療の不完全さ・重症度による時間遵守の不公平という 3 つの失敗モードに分解した。3 つの構成要素が揃って初めて改善が現れるという結果は、長時間実行の失敗が結合したボトルネックであることを示している。Same Patient, Different Order は同一入力での再実行によって、臨床エージェントが同じ失敗判定の裏で毎回異なる処方・検査を出していること(43 グループすべてで実行間に異なる指示集合)を示し、単発採点のベンチマークがこの乖離を記録しないまま通してしまうと指摘する。
効率化と推論コスト
Grouped Value Attention(58 upvotes)はキーを保存せずオンデマンドで再構成して GQA の先へ進み、Occamy-1.0(41 upvotes)はエピソード全体の累積コストを最適化軸に据える。ZGCM-1(291 upvotes)も、16K 事前学習の time-to-loss で約 4.2 倍という効率改善を成果の中心に置いている。arXiv 側では削りどころがさらに細分化されている。LayerRoute は Qwen2.5-0.5B-Instruct の 24 ブロックに層あたり約 21.5K パラメータのルータと LoRA を載せ、10 シードすべてで同一のスキップパターン(中間 9 層)に収束しつつ実測 1.02〜1.06 倍の高速化と perplexity 改善を両立させ、ゲート決定が保留サンプルの 87〜100% で実際のスキップ結果を変えることから固定的な枝刈りではないと確認している。Token Merging for Multilingual Speech Recognition は Whisper ファミリ 16 言語 3 サイズで、再学習なしのトークン統合が転写精度をほぼ損なわずに効率を上げ、ファインチューニング後でも機能することを示した。Carbon-Aware Routing for Function Calling は、軽量な k-NN 予測器で各エッジ層の精度・遅延・電力を見積もり、リアルタイムの系統炭素強度と組み合わせて最小排出の層へルーティングすることで、クラウド並みの精度のまま運用炭素排出を平均 4 分の 1 に抑える。
効率の話は「そもそも大きなモデルが必要か」という問いにも向かっている。LLMs or Naive Bayes? は Complement Naive Bayes を 27B から 1T MoE までの LLM と比較し、LLM が優位なのはラベルなしのゼロデータ領域に限られ、しかもその優位は汚染の影響を受けやすい(低汚染の感情分析では NB 81.7% 対ゼロショット LLM 73.0%)ことを報告する。AG News ではラベルがあれば NB が 89.1% でゼロショット 27B(89.0%)と統計的に区別できず、397B のフロンティアモデル(84.8%)を上回った。Do Tabular Foundation Models Still Need Feature Engineering? も同じ方向から、特徴量エンジニアリングの利得が初期世代のモデルに集中し、最強のモデルではほぼ無視できる大きさになる一方で、関連データセットからの文脈内情報の追加は依然として効くことを示している。
安全性とガバナンス
内部表現を使った軽量な安全検知が複数出ている。Harmfulness Propagation Dynamics は、有害プロンプトに対して最終トークンの隠れ状態を学習した有害方向へ射影した値が層の深さとともに単調に上昇し、無害なプロンプトでは平坦または振動するという層横断の signature を同定した。この「軌跡の形」から傾き・曲率・単調性・発現層などの 7 次元特徴を抽出し、288 パラメータの MLP で判定する HERALD は、8 つのベンチマークと 4 つのモデルファミリで既存の潜在表現ベース手法を 2.3〜4.1 F1 上回り、推論時の追加 FLOP は prefill の 2.6×10⁻⁶ にとどまる。ForeSight は同じ発想を出力前に持ち込み、最初のトークンの隠れ状態だけから最終応答の有害性を予測する。PolicyMem は自然言語のポリシーを共有表現空間の低ランク部分空間として外化し、検知・介入・検証の全段でポリシー証拠を再利用する detect-rewrite-verify のループを構成する。エージェント実行時の安全については HazardAuditor(13 upvotes)が、静的なプロンプトと応答を対象とする既存のガードモデルではコンピュータ利用エージェントの実行時挙動に対応できないと指摘している。
制度側の議論も並んでいる。From Legal Text to AI-specific Risk Sources は EU AI Act 第 2 節(高リスク AI システムの要件)を体系的に分類し、AI 固有のリスク源に直接対応する要件は少数派で、大半が組織的プロセスと文書化の義務であることを示したうえで、リスク関連要件から個別のリスク源リストを抽出した。Governing at Machine Speed は、組織がガバナンス方針を持ちながら規制の期限内に改ざん耐性のある執行証跡を出せない状態を「attestation deficit」として特徴づけ、5 層のアーキテクチャを提案している(実証的検証は今後の課題と明言)。
評価とベンチマーク
臨床・医療領域の評価に、時間や再現性という新しい軸が入ってきている。Hindsight Bias in Clinical Temporal Reasoning は、臨床判断が前向きである一方でモデルの評価は最終診断や転帰が見えている後ろ向きの記録で行われている点を突き、判断時点で打ち切ったタイムラインと完全なタイムラインを対にしたベンチマークを構築した。171 症例で GPT 5.6 Sol・Gemma 4・GLM 5.2・Opus 5 を評価し、完全なタイムラインを見せると一貫して後知恵バイアスと整合する変化が生じる一方、時間的マスキングは精度を落とさずにバイアスを減らすと報告している。GAVEL は二つの臨床タイムラインを症例報告と照合して差分の種類・判定・根拠箇所を返す LLM ジャッジ手続きで、どちらかを正解と見なさずに比較と修正を行い、126 症例で統合タイムラインが 77.0% の比較で選好され、評価対象に帰属する矛盾を 1 報告あたり 7.63 件から 0.85 件へ減らした。Vibe Patenting は特許ドラフティングを題材に LLM ジャッジの反復フィードバックを検証し、低推論エージェントが大幅に高コストな高推論エージェントの性能に近づく一方、専門の特許弁護士による独立評価との一致は指標依存で系統的な校正差があることを示している。
RL とポストトレーニング
Learning to Solve Hard Problems in RL for LLMs by Never Giving Up は、RL による改善がデータセット全体に均等には及ばず、LLM がすでに得意な易しい問題で大きく伸びる一方で難しい問題ではほとんど伸びないという「RL における Matthew 効果」を指摘した。正解が出るまでサンプルを生成し続ける Never Give Up(NGU)は、非同期 RL を使って易しい問題を少ないサンプルで切り上げ、難しい問題に計算を回す。Manufactoria では、テストごとの報酬を使う標準的な GRPO が難易度の幅のある問題を解き切れないのに対し、NGU はより難しいテストを順に解けるようになっていく。MoE の RL では Expert-Space Exploration in MoE Reinforcement Learning が、これまで固定要素として扱われてきた専門家選択そのものを探索の対象に据える。MInTRL は、on-policy RL に off-policy の介入を入れることで、方策が自力で発見できる軌跡の範囲を超えて外部知識を取り込めることを示している。